千葉県里山の保全、整備及び活用の促進に関する条例
六百万県民時代を迎え、私たちは、房総の恵まれた自然を生かし、県民一人ひとりが健康で文化的な生活を享受できるよう、人と自然とが共生する豊かな環境の創造に努めていかなければならない。
とりわけ先人の英知とたゆまぬ努力とによって、人と自然との営みが調和しつつ、維持されてきた里山は、県民にとってかけがえのない貴重な財産である。
こうした里山は、多様な生き物の宝庫であるとともに、森林、谷津田、水辺等が一体となって美しい景観を形成しているが、近年、生活様式や農業生産方法などの変化により、人との関わりが薄れ、その良さが失われつつある。
そこで、県、市町村、県民等が協働して、環境の世紀にふさわしい、人と里山との新たな関係を構築し、次代に引き継ぐため、ここに千葉県里山の保全、整備及び活用の促進に関する条例を制定する。
(目的)
第一条
この条例は、里山の保全、整備及び活用について、基本理念を定め、県の責務並びに県民、里山活動団体及び土地所有者等の役割を明らかにするとともに、里山の保全、整備及び活用を促進するため必要な支援等を行うことにより、里山の有する環境の保全、災害の防止、良好な景観の形成、余暇及び教育に係る活動の場の提供、伝統的な文化の継承等の多面にわたる機能が持続的に発揮されるようにし、もって現在及び将来の県民の健康で文化的な生活の確保並びに活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 里山 人が日常生活を営んでいる地域に隣接し、又は近接する土地のうち、人による維持若しくは管理がなされており、若しくはかつてなされていた一団の樹林地又はこれと草地、湿地、水辺地その他これらに類する状況にある土地とが一体となっている土地をいう。
二 里山活動団体 里山の保全、整備及び活用に係る活動を積極的かつ主体的に行う特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人その他の営利を目的としない団体をいう。
三 土地所有者等 里山の所有者又は里山を使用収益する権原を有する者をいう。
(基本理念)
第三条
里山の保全、整備及び活用は、里山の有する環境の保全、災害の防止等の機能はもとより、良好な景観の形成、余暇及び教育に係る活動の場の提供等の多面にわたる機能が積極的に評価されるべきことを旨として、行われなければならない。
2 里山の保全、整備及び活用は、里山の有する地域における伝統的な文化が将来の県民に継承されるべき重要な財産であることについて認識されるべきことを旨として、行われなければならない。
3 里山の保全、整備及び活用の促進が図られるためには、県民、里山活動団体及び土地所有者等が積極的かつ主体的に活動することが不可欠であることを旨として、行われなければならない。
4 里山の保全、整備及び活用は、県及び市町村並びに県民、里山活動団体及び土地所有者等が、それぞれの役割の適正な分担の下に協働すべきことを旨として、行われなければならない。
(県の責務)
第四条
県は、前条に規定する里山の保全、整備及び活用についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、里山の保全、整備及び活用に関する総合的な施策を定め、及び実施するよう努めなければならない。
2 県は、基本理念にのっとり、市町村と連携して、県並びに県民、里山活動団体及び土地所有者等が一体となった里山の保全、整備及び活用に係る活動を推進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
3 県は、基本理念にのっとり、市町村と連携して、県民、里山活動団体及び土地所有者等に対し、里山の保全、整備及び活用の促進を図るために必要な広報活動の充実その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
4 県は、基本理念にのっとり、市町村が実施するその地域の実情に応じた里山の保全、整備及び活用に関する施策の支援に努めなければならない。
(県民の役割)
第五条
県民は、基本理念にのっとり、里山の保全、整備及び活用についての関心及び理解を深めるとともに、里山の保全、整備及び活用に係る活動に協力するよう努めるものとする。
2 県民は、基本理念にのっとり、県が実施する里山の保全、整備及び活用に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(里山活動団体の役割)
第六条
里山活動団体は、基本理念にのっとり、里山が継続して人による維持又は管理がなされることにより保全が図られることについて深く認識し、継続して里山の保全、整備及び活用に係る活動を行うよう努めるものとする。
2 里山活動団体は、基本理念にのっとり、県が実施する里山の保全、整備及び活用に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(土地所有者等の役割)
第七条
土地所有者等は、基本理念にのっとり、里山の保全、整備及び活用が図られるよう努めるものとする。
2 土地所有者等は、基本理念にのっとり、県が実施する里山の保全、整備及び活用に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(里山の日)
第八条
県民の間に、広く里山の保全、整備及び活用についての関心及び理解を深めるとともに、積極的に里山の保全、整備及び活用に係る活動に参加する意欲を高めるため、里山の日を設ける。
2 里山の日は、五月十八日とする。
3 県は、市町村と連携して、里山の日の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めなければならない。
(里山基本計画)
第九条
知事は、里山の保全、整備及び活用に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、里山の保全、整備及び活用に関する基本的な計画(以下この条において「里山基本計画」という。)を定めなければならない。
2 里山基本計画は、次の各号に掲げる事項について定めるものとする。
一 里山の保全、整備及び活用に関する施策についての基本的な方針
二 里山の保全、整備及び活用に関し、総合的かつ計画的に講ずべき施策
三 前各号に掲げるもののほか、里山の保全、整備及び活用に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 知事は、里山基本計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(県民の意見の反映)
第十条
知事は、里山の保全、整備及び活用に関する施策に県民の意見を反映させるため、インターネットの利用その他の方法により、里山の保全、整備及び活用に関する施策について広く県民の意見を聴くものとする。
(公共事業の計画又は実施に当たっての配慮)
第十一条
県は、公共事業を計画し、又は実施するに当たっては、里山の保全との調整について適切に配慮しなければならない。
(県民の関心及び理解を深めるための措置)
第十二条
知事は、里山の保全、整備及び活用の促進についての県民の関心及び理解を深めるため、里山の保全、整備及び活用に関する広報活動の充実、学習の機会の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
(県民が参加する機会の提供)
第十三条
知事は、里山の保全、整備及び活用に係る活動を促進するため、県民が参加する里山を利用した行事の実施その他の県民が里山を利用した活動に参加する機会の提供を行うものとする。
(調査及び研究)
第十四条 知事は、里山の保全、整備及び活用を効果的に促進するため、里山の保全、整備及び活用の方法に関する調査及び研究を行うものとする。
(財政上の措置)
第十五条
知事は、里山の保全、整備及び活用に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。
(里山活動協定の締結及び認定)
第十六条
里山活動団体(法人でない社団又は財団である場合は、その代表者又は管理人。第三項、第十八条第一項、第十九条第一項及び第二十条第二項において同じ。)は、積極的かつ主体的な里山の保全、整備及び活用に係る活動を行おうとする場合は、当該活動を行おうとする土地の区域における土地所有者等と、里山の保全、整備及び活用に係る活動に関する協定(以下「里山活動協定」という。)を締結し、当該里山活動協定が適当である旨の知事の認定を受けることができる。
2 里山活動協定においては、次の各号に掲げる事項を定めなければならない。 一 里山活動協定の目的となる土地の区域 二 里山活動協定において里山活動団体が行う里山の保全、整備及び活用に係る活動に関する事項
三 里山活動協定の有効期間 四 里山活動協定に違反した場合の措置 五 その他必要な事項
3 里山活動協定については、当該里山活動協定に係る里山活動団体及び土地所有者等の全員の合意がなければならない。
(里山活動協定の認定の申請等)
第十七条
知事は、前条第一項の認定の申請が次の各号のいずれにも該当するときは、同項の認定をしなければならない。
一 申請の手続又は里山活動協定の内容がこの条例及び他の法令に違反するものでないこと。
二 里山活動協定の目的となる土地の区域が道路、公園その他の公共の用に供する施設の予定地である区域でないこと。
三 里山活動協定の内容が里山活動協定の目的となる土地の利用を不当に制限するものでないこと。
四 里山活動協定の内容が里山の保全、整備及び活用の促進に資すると認められるものであること。
五 里山活動協定に係る活動が継続して行われると認められるものであること。
2 知事は、前条第一項の認定をしようとするときは、あらかじめ、その認定をしようとする里山活動協定の目的となる土地の区域の全部又は一部が存する市町村の長に意見を聴かなければならない。ただし、当該市町村が同項の里山活動協定に係る里山活動団体又は土地所有者等である場合は、この限りでない。
3 知事は、前条第一項の認定をしたときは、規則で定める事項を公告しなければならない。
(里山活動協定の変更)
第十八条
第十六条第一項の認定を受けた里山活動協定に係る里山活動団体は、当該里山活動協定において定めた事項を変更しようとする場合においては、当該里山活動協定に係る里山活動団体及び土地所有者等の全員の合意をもってその旨を定め、知事の認定を受けなければならない。
2 前条の規定は、前項の規定による変更の認定について準用する。
(里山活動協定の廃止)
第十九条
第十六条第一項又は前条第一項の認定を受けた里山活動協定(以下「認定里山活動協定」という。)に係る里山活動団体又は土地所有者等は、当該認定里山活動協定を廃止しようとする場合においては、あらかじめその旨を知事に届け出なければならない。
2 知事は、前項の規定による届出があったときは、規則で定める事項を公告しなければならない。
(里山活動協定の認定の取消し)
第二十条
知事は、認定里山活動協定が第十七条第一項各号のいずれかに該当しないものと認められるに至ったときは、当該認定里山活動協定の認定を取り消すものとする。
2 知事は、前項の規定による認定の取消しを行ったときは、その旨を、当該認定里山活動協定に係る里山活動団体及び土地所有者等に通知するとともに、規則で定める事項を公告しなければならない。
(里山活動団体の情報の提供)
第二十一条
知事は、里山活動団体及び土地所有者等が協働して行う里山の保全、整備及び活用に係る活動を促進するため、里山活動団体の要望に基づき、里山の保全、整備及び活用を図ろうとする土地所有者等に対し、当該里山活動団体の情報を適切に提供するものとする。
(認定里山活動協定に係る活動に対する支援)
第二十二条
知事は、認定里山活動協定に係る里山活動団体及び土地所有者等に対し、里山の保全、整備及び活用に関する助言及び講習会の開催その他の里山活動協定に係る積極的かつ主体的な活動を支援するために必要な措置を重点的に講ずるものとする。
(報告の徴収)
第二十三条
知事は、認定里山活動協定に係る里山活動団体又は土地所有者等に対し、当該認定里山活動協定に係る活動に関する必要な報告をさせることができる。
(委任)
第二十四条
この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
この条例は、平成十五年五月十八日から施行する。